私は麹を販売していますが、「少しでも簡単に作れる方法はないか」「自分で作ることで麹を身近に感じてもらえないか」「あわよくば麹友とその日の出来を共有しあってニヤニヤしたい」という欲望が常に頭の片隅にあります。
麹は蒸した米に種麹を蒔いて2-3日保温して作ります。
麹づくりを始める際、一番のハードルになるのがこの保温の工程。麹菌はカビなのでじめじめした暑い夏の日くらいの環境が快適なのです。
私は日本から発酵器を持ってきましたが「ちょっと試してみたい」の為に嵩張る道具を買うのは勿体ない。
電気毛布、パンやヨーグルトの発酵器、水槽用のヒーターなど海外でも手に入る代替案は存在しますが温まり過ぎも麹には大敵なので温度計を使って24時間温度を監視しいつでも温度が調節できる態勢でいなければいけません。これもなかなか手軽ではない。
そんな中、ポケットで保温して麹を作る方法が話題になっていたので試してみたら圧倒的に手軽で楽しかったので共有します。
下記は私が試した方法ですので色々な例が見たい方は「ポケット麹」で検索してみてください。
材料
米 80g (100gくらいまでは増やしても大丈夫そう)
種麹 0.1-0.4g (小さじ8分の1で約0.4g)
この記事では米は短粒種、種麹は味噌や甘酒用の白色のものを使っていますが長粒種のお米やお好みの種麹でも大丈夫なはず。
必要な道具
米を浸水するボウル
浸水した米の水を切るザル
米を蒸すための布と蒸し器 / ザルと鍋 / 電気調理器など
小さめのポリ袋
(しゃもじ、茶こし)
ポリ袋に穴を開ける針
手順
1.米を数時間~一晩浸水する。米の内部までしっかり浸水させる
2.ザルに上げて10ー30分間よく水を切る
3.米を25—40分間蒸す。全体的に透明がかって数粒をとって指でぎゅっと潰すと米粒がくっつき合う状態が蒸しあがり。★最重要工程。粒がしっかりしていて潰さない限り独立している、しゃもじに当たるとカシャカシャと高い音がする、火は通っているがご飯より圧倒的に硬い状態が理想
4.蒸した米をお皿やバットに広げ触って熱くない温度まで冷ます。触ってほんのり温かいくらいまで冷めたら種麹を撒く。スプーンで散らしても良いが、茶こしで満遍なく振りかけられれば尚良い。種麹が全ての米粒に付くようによく混ぜる
5.混ぜた種麹つき蒸米を袋に入れて口を軽く結ぶ
6.ポケットに入れて保温する。ズボンのポケットでも、パーカーのポケットでも。ポケットが無い場合私は腹巻の間に挟んだりもしてました。
このときの日付と時刻をメモしておく。麹と過ごす3日間の始まり!ここからは私の麹の成長過程のレポートです。
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袋をポケットに入れたのが某日正午頃。たまに袋の口を開け、袋の上から揉んで混ぜた。気になって仕方がなくて3-6時間に一回くらい。気が向いたときに冷たい外側の面が体側に来るように袋の向きを変える。最初は袋に若干水滴がついていたが、夜には米粒の表面が乾いてきてポロポロになった。寝がえりをうっても潰れない側のポケットに入れて寝た
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手順6から24時間後、針で袋に穴を開ける。大体1-2㎝間隔で麹の入っている部分を全体的に。麹菌が発芽し米粒に白い点が見えるようになる。匂いを嗅ぐと麹の香りがしはじめる。たまに袋の口を開けて空気の入替、袋の上から混ぜるのを引き続き行う
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2日目の夜中くらいから麹菌が成長し米が発熱し始める。白い部分が広がって米全体が不透明な白になる。(もしポケットの中が不快なレベルで熱いと感じる場合は袋を振って混ぜて冷ましてあげてください)
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3日目午前中(穴を開けてから20時間後くらい)、運動したかったので麹は毛布にくるんで放置。邪魔でなければ袋が破れない程度に一緒に運動しても良いと思うのだが、ラスト12時間程度は動かさない方が酵素を蓄えやすいと聞いたので放置。たまに様子を見ると毛布の中でぬくぬくしていてかわいかった。
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最初にポケットで保温を始めてから55時間後、菌糸が伸びて米粒がくっつき合い、ふわふわしていたので完成とした。
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最後にほぐして冷まし、保存袋に入れて冷凍庫へ。この米麹で何を作ろうか。寒くなってきたから甘酒もいいけど、そろそろ切れそうな塩麴にしようかな。
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(ちなみに出来上がりの見た目がふわふわである必要はないです。米を一粒割って中を確認し、写真のように真っ白もしくは中心に向かって真っ白な筋が一本でも伸びていればOK。麹菌が成長して米粒内に酵素を蓄えている証拠です)
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出来上がる量は少量ですが仕込み以降体温だけで麹を作ることができました。袋の上から揉むだけなので手を洗って、除菌して、蓋に盛って…と複数の工程を踏む必要がある通常のお手入れより圧倒的に手軽でしたし、ポケットの中で育ついのちを感じてとても心温まる体験でした。
通常の手間のかかる麹づくりは無責任に人様におすすめできるものではないですが、ポケット麹は全力でおすすめします!発酵をちょっと試してみたい方、忙しい日々の中で癒しが欲しい方やお子さんの自由研究にもぴったりです。
また、麹は作ってからその先が本番です。甘酒や麹水、もしくは塩麴、醤油麹、麹納豆にしてもよし、何回か作り貯めて味噌を作ってもよし。できた麹は「生麹」ですので保存は冷蔵庫で1週間、冷凍庫で6か月。レシピを参考にする際は生麹用の分量に従ってくださいね。
上手くできた、できなかった、できた麹で何か作ったなどぜひ共有してください!XもしくはInstagramで@kojikollectiveをつけて投稿していただければ鼻息を荒くして見に行きます。それでは楽しい麹ライフを!